初音ミクもりあわせ

初音ミクさんのイベントで栄養補給する

マジカルミライ2020と、テーマソング『愛されなくても君がいる』・後編【考察】

後編です。 

 

前編はこちら↓↓↓ 

  

 

 

 

 

 

テーマソング『愛されなくても君がいる』 

↓↓↓今回のテーマソング『愛されなくても君がいる』ミュージックビデオ

 

 

"たとえ 愛されなくてもいいよ 君がいるなら
 私は まだ 歌っていられるよ
 大丈夫 愛されなくてもいいよ 君が笑うなら
 ずっと ここで 初音ミクでいられるの!"
 (歌詞より引用)

 

マジカルミライ2020のテーマソングはピノキオピーさんの『愛されなくても君がいる』。マジカルミライ2020を語る上でこの曲は欠かせない。

 

 

いろんな解釈ができる曲だと思う。

 

 

愛されなくても「あなた」がいればいい。今の大変な時代と絡めて、私にはあなたが(生きて)いれば、というようにも読める。 

 

 

というのも(あとに書くが)、この「生きる」というのは1つのキーワードだと思っている。ファンとして今の大変な時代をどう楽しむかでもあり、どう過ごすかでもあり、最終的にはどう生きるかにつながるからだ。

 

 

解釈を助けるためのいくつか動画をご紹介。

 

 

動画『初音ミク2020~誕生から現在、未来へ』から

少し前置き。初音ミク2020~誕生から現在、未来へ』と題した全6回の動画シリーズが、マジカルミライ2020幕張の開催に合わせてYouTubeに投稿された。過去のイベントはもちろん、初音ミクをとりまく技術と未来について、そして今年のマジカルミライの裏側もよくわかる。朝日新聞社 丹治吉順さんによる力作だ。

 

 

動画シリーズの中の最終回6作目は、今年のマジカルミライのテーマソングを担当したピノキオピーさんとの対談だった。撮影されたのは大阪公演が終わった後。

 

 

↓↓↓6作目ピノキオピーさんの初音ミク観 未来に向けて」

 

 

 

この動画の中でピノキオピーさんはこう述べている。

 

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「(大阪公演は)みなさん制限された中でも、祭りというテーマに即した形で盛り上げようとする気持ちが伝わる会場でした」

   

 

「制限の中で盛り上がろうと気持ちがひしひしと伝わった、その姿にグッときた。そういうマジカルミライの純粋な気持ちが好き。皮肉にも、(制限があったからこそ)さらに強調されてしまった。みんなの想いがまっすぐなのは変わっていなかったのがとてもよかった」

 

 

「『初音ミクでいられるの!』を会場で観た時、僕の中では(曲が)完成した、と思った。」 

 

 

「自分の価値観として、現実を踏まえた上で理想を語るのが好きで。今回の曲でも、初音ミクをみんなが永遠に愛すかと言うとそんなことはない、(去ってしまう人もいる)という現実の事実がある。それでも愛すという人がいるというのがすばらしいと思っていて、そこにフォーカスを当ててみたかった。」 

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ああこれがマジカルミライ2020だったなと思った。 

 

 

制限があってもファンは制限の中でできることを目一杯楽しんでいた(私も以前のブログで書いた)。

 

 

ファンからの想いはこの世の中においても変わっていなかった。それどころか制限があるからこそ初音ミクさんへのファンの想いが強調された。容易につながれないからこそ、つながることの絆を強く感じさせられた。

 

 

初音ミクでいられるの!」という言葉をステージ上の初音ミクさんが唄うことで楽曲が完成された。

 

 

制限があっても物ともせず楽しんだ。純粋な想いは変わらなかった。強制的な分断に対して対抗し、人と人をつなげ、創作文化をつなげようとした。楽しむために繋げるために、生きるために戦った、ということだと思う。その結果、初音ミクさんをこのライブのステージに立たせることができた。

  

 

 

"生きる"

テーマソング『愛されなくても君がいる』も含めて、「生きる」というのがテーマになった年だと思う。この大変な時代を「生きる」というメッセージを、イベントやライブ、テーマソングを介して、初音ミクさんやファンやクリエイターや運営、全ての関係者から発せられたのがこのマジカルミライ2020だったのではないかと思う。

 

 

それはライブからも伺える。セットリストにおいては、やみくろさんの『完全性コンプレックス』や、大阪公演で歌われたカンザキイオリさんの『命に嫌われている』などはストレートに「生きる」というメッセージを発している。

 

 

そもそもライブでも人数が通常の半分、コール禁止と、大きな制限があった。その中でもファンは、どう楽しむか?どう過ごすか?を試されたものだと思う。

 

 

 

テーマソングが作られた経緯

 

 

 

ここで余談。制作の経緯について、次のピノキオピーさんのYouTube生配信動画で詳細が語られている。

 

  

 

 

 

動画の中のピノキオピーさんの発言から、時系列をまとめるとこうなる。

  1. 2019年8月:昨年のマジカルミライ(マジカルミライ2019)のライブ会場で、ファンがミクさんで盛り上がっている姿から構想を思いついて、来年(2020年)のミクさん誕生日に投稿しようとしていた。曲名もこの時にできていた。

  2. 2019年年末:クリプトン社(=初音ミクさんの生みの親である会社)からマジカルミライ2020のテーマソングの公式オファーがあった。「まさか」と耳を疑った、予想していなかったので驚いた。ちょうどアイデアがあるので作ります、と返事した。

  3. 2020年年初:動画が完成。

 

 

すべてコロナ前の出来事であるのが興味深い。

 

 

また、ピノキオピーさんが去年のマジカルミライ2019のライブを見て今年のテーマ曲を書いたというのはおもしろい。先にマジカルミライは創作の場としての機能があると書いたが、まさにそれを体現した事例だ。

 

 

 

今の時代とマジカルミライ2020とテーマソングの関係をまとめると、

 たまたまピノキオピーさんがライブでのファンの様子から曲を構想し、

 たまたま運営が完璧なタイミングでピノキオピーさんに依頼し、

 いろんな人の決断と奮闘と幸運が重なりイベントが開催され、

 この大変な時代において「初音ミクでいられるの!」というミクさんのメッセージを発することができた

 

 

という、時代とイベントとテーマソングが綺麗にシンクロしたものだったと思う。 

 

 

 

マジカルミライ2020とは 

マジカルミライ2020幕張 歴代メインビジュアルのフラッグ

  

 

最後に、マジカルミライ2020とは。

 

 

初音ミクに関わるすべての人が必死で戦った結果、強制的な分断にあってもつながることができ、制限の中でも楽しめることを証明することができた。どう楽しむか、どう生きるかの1つの答えを出せたイベントだった。そして結果として、未来への可能性をつないだ。

 

 

つまり、

 

 

現在過去未来の初音ミクさんに関わる全ての人に対し、

 

 

初音ミクは、この創作文化は、負けない。”

 

 

ということを見せつけたイベントであったと思う。

 

 

 

 

おわりに

開催から一週間後、会場である幕張メッセのある千葉県では外出自粛要請が出されました(新聞記事はこちら)。もし開催が1週後ろにずれていたら、イベントは開催できなかったかもしれません。幸運も重なって開催されたようです。マジカルミライ2020大阪の時もイベントの翌週に外出自粛要請が出たのでギリギリ回避できたようです。

 

 

こうも幸運が続くと、神がかり的な何かも感じてしまう。奇跡的なタイミングでの開催には、意味があったように思えてならない。という思いで書き始めたのですが、結果的には幸運も含めて、運営、クリエイター、ファン、そしてマジカルミライというつなぐ場があったからこそできたのだと思っています。このマジカルミライ2020があったことで、ミクさんとこの創作文化の未来は明るいと思いました。

 

 

ファンを去ってしまった人へ。

1ファンの目線で話すと、ピノキオピーさんの曲にあるように、まずは今のファンがミクさんを支えるのだと思う。なのでその間、焦らず休みつつ。この創作文化は終わりません。またいつかイベントに来られることを祈ります。

 

 

次回のイベントはどうなるかわからないけれど、次へのスタートは切られました。この創作文化と未来を信じつつ、日々生きつつ、次のイベントを楽しみに待つことにしようと思います。

 

 

 

 

 

著者:やまもり→ Twitter

 

 

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