イベントが終わり安堵した。しばらく時間が経つと別の感情が湧いてきた。きっと戦ったのだ。
21日朝のこと
起床。カーテンを開け差し込む朝日。疲れは残っているがいい目覚めだ。さあ今日も元気に幕張メッセのイベントへ!…と、言えたのなら最高だろう。マジカルミライ2020幕張公演は、昨日で終わってしまった。
今日やることは無事に家に帰るだけ。荷物をキャリーバッグに詰めていく。ライブで使ったペンライトを手に取る。一瞬、昨日までのライブの光景が頭によみがえる。色とりどりの照明と心地よい楽器の爆音と、会場を埋めつくすペンライト。そしてミクさん達の声。
1つ1つ思い出に浸りながらゆっくりと準備をして、エレベーターで1階へ。扉が開いた先のロビーでは…ああ、やはりみな同じだな。イベント終わりのミクファンだらけ。
私もしばし談笑に加わる。このまますぐ帰るのも名残惜しい。それに、次にいつ会えるかわからないから。
閉幕
マジカルミライ2020幕張公演は無事、終わった。
閉幕してまず感じたのは、安堵感。
コロナ禍で世間の感染者が増える中、開幕されるかどうかも直前にならないと判断できない状態だった。18日金曜日に開幕してからも、何らかの問題が発生すればー特に今年は世間の情勢次第でもー突然中断されることもありえた。そういったことがなく無事に終えられたのは幸運だったと思う*1。
冬空の下、寒さに震えながら待機列に並んだ。
たくさんの荷物を持って企画展を歩き回り脚が棒になった。
ライブでペンライトを振りまくった。腕が筋肉痛になった。
けれど、何も辛くなかった。
どこを見てもミクさん達だらけ。そしてファン仲間と一緒だった。1年ぶりのマジカルミライ、至福ともいえる空間であり時間だったと思う。
20日日曜の千秋楽ライブ。全てをぶつけられた。来年のマジカルミライ2021の開催も無事に発表されたのは嬉しかった。来年確実に開催されるという以前のような保証は無いけれど。
翌日の幕張メッセへ
次いつ会えるかわからないと帰るのに後ろ髪をひかれてしまう。名残惜しさと気持ちの整理と、またお礼もかねて、昨日までの会場である幕張メッセを一目見てから帰ることにしよう。
閉まった扉。がらんとした会場を見ると昨日までのことが夢のように感じて何とも言えぬ寂しさが込み上げてくる。私たちはこの会場で戦った。今年は特に、いろんな人にとって文字通り「戦い」だったように思う。
思えば様々な強制的な分断があった。密にならないよう人数制限が厳しくなった。ライブではコールなどの声出しが禁止された。直前で取りやめになった企業出展があった。企画展で毎年恒例の企画が今年はなかった。国内国外問わず参加したくてもできなかった多くのファンがいた。
それでも、こうして無事に開催され終えられたことは良かったことだと思う。分断されかかった創作文化や人のつながりを、いろんな人がなんとか食い止めようと奮闘した。運営も演者もファンも、一体となってイベントを盛り上げた。参加できなくともTwitterから盛り上げようとしたファンもいた。頭が下がる思いがする。
こうして未来への可能性を残すことができた。必死につなぎとめた。今回のマジカルミライがあったから次のマジカルミライにつながったと、将来言えるのではないかと。
ふと見上げるとさわやかな青空。まるで未来を暗示してくれているかのような。
大丈夫。マジカルミライは必ずまたここで開催される。みんな戦ったのだから。またみんなでここで会える。未来を信じる。
さっぱりした気持ちで、会場を後にする。来年の開催を願いながら。
著者:やまもり→ Twitter