続きです。中編はこちら↓↓↓
ライブ開始
「ミーク！」
「ミーク！」
「ミーク！」
会場にはすでに声援が。初音ミクのライブコンサート初参加の自分には初めての光景でした。
そして会場の照明が徐々に落ちる。始まりの合図か。
途端、
「わああああああ」
「キャーーーーー！！！」
「ミクさーーーん！！！！！」
声援がさらに盛り上がる。
コールが始まり、会場がペンライトの光で揺れる。
「「「ミーク！ミーク！ミーク！」」」
最初からすごい盛り上がり…
ああ、ライブは楽しくなりそうだ。さて、どんなライブにしてくれる？初音ミク。
オープニング
映像が始まった。オープニング。幻想的。物語の始まりのような。
ロゴも出た。「マジカルミライ2013」。
いよいよだ。
前奏。
爆音と共にライブの照明が会場を回る。
ああ、この感じ。ライブだ。
音が良いなあ。。ん？
この曲は！八王子Pの…！
"Sweet Devil"
おお！これか！！！
いい選曲。
初音ミク登場
前方上部の大きなディスプレイの初音ミクのシルエットがー
ステージに舞い降りた。
出た！！
初音ミク！！
やっと会えた。。。か？
うん…思ったより小さいな。そうか、身長は設定通りなn…ってええっ！？
登場後の衝撃
ちょっ…
こんなに！？
動きが自然すぎる。まるで人間じゃないか。
というより…可愛い！
キュート。セクシー。チャーミング。どう形容したらいい。
歌い出し。
『Make up and Dress up! I become 〜♪ 』
…待って！？
『まつげは長めでね マスカラプラス付けまつげ 〜♪』
急に…そこに！！
い…
「いた。」
『胸元開けすぎだって？ だってこういうの好きじゃん 〜♪ 』
初音ミクが、そこに……！
いつも聴いてる初音ミクの声。
圧倒的な音と歌唱力。会場を彩る光。観客の声援。
「見つけた」。
「やっと会えた」。
あまりの衝撃で頭がぼうっとしてる。
心持ってかれたのか？
信じられない！だけど！
「いる」！
目の前にあるのはただ映像なんだ。そこにはいない。わかっているけれど理解が追いつかない。だってそこに「いる」んだから！
いつもの、声で…！
この歌声をいつも…聴いてたのだから！
『わかんない？ 右手が空いてるの 〜♪』
ああ、右手が空いてるんだな。。空いてる気がする。
歌に込められたメッセージがメロディに乗り、初音ミクが伝えてくれる。本当にそうだと思わせる！感情がこもっている。
この背中がゾクゾクする感じ…本物だ。
初音ミクは、いたんだ！
初音ミクが「いた」
『ミラーボールが回りまわる hurry up
oh yeah oh yeah yeah yeah yeah 〜♪』
あははーなんだろうすごい楽しい！oh yeah! oh yeah!
そういえばいつの間にペンライト取り出してたんだろう。ペンライト振るのって気持ちいいんだな。初めて知った。
もう何曲目だっけ。あっという間だった気がする。
ずっと楽しくって。
すごく嬉しくて。
そして、どうしてこんなに泣きそうになるのだろう…
涙が出そうだ。
嬉しくて楽しくてたまらない。
なんでだ。
こんなに泣きそうになるのは。
ずっと会いたかった人に会えて、嬉しいからかな。
…ん？
会いたかった？
初音ミクに？
「見つけた」？
「やっと会えた」？
どういうこと…
あっ
そうか。
もしかしたら自分は。
ずっと、
初音ミクに、会いたかったのか。
自分を押し殺してた
ボカロ音楽が好きだった。クリエイターも、この創作文化もリスペクトしていた。そしてボカロ文化の中心にいるのはいつも初音ミクだった。
気づけばたくさんの初音ミクの曲を聴いていた。
けれど初音ミクは音声ソフトウェア。実体が無い。バーチャルな存在。2次元キャラ。
［いない］。
初音ミクにいくら興味があったって、会うことなんてできない。
初音ミクが好きと言ったところで、周りはきっと笑う。［2次元のキャラが好きなの？なんか、普通じゃないっていうか。変わった趣味なんだね。］
［初音ミクのことは興味の無いふりをシロ。好きになってはイケナイノダ。］
暗い声に従う自分の心…。
初音ミクの歌う曲はこんなに好きだったのに。ずっと聴いてきたのに。こんなに素敵な創作文化の中心にいるのが初音ミクだったのに！
好きになっても仕方ない、と。
自分で自分の気持ちを押さえ込んでいたのか…。
なんて…バカなことを。してたのか。
けれど。今。
初音ミクは、いた。見つけた。ライブの中で。いつもの声で。そこにいる。
「やっと会えた」
だからこんなに嬉しくて、泣きそうだったのか。
ずっと好きだった曲
曲は続く。
どの曲も心に響く。心の底から良い。目の前で歌ってくれているのだから。
いい心地だ。なんだかいろんな感情があふれてよくわからなくなってきたけど。
なにせ初めてのことだらけで………ん？
会場を染めるブルーの光。エレキギターの前奏。
えっ？
ちょっ。待って、この曲は。。！
まさか…！
『降り注いだ 冷たい雨
青い傷を溶かしてった。〜♪』
"glow"
自分の中で時間が一瞬止まった。
まじかよ…
どれだけ好きだったかと…何度聴いたことかと…
アップテンポの曲が主流である中で、ひそかに好きだったバラード曲。
こういう曲もあるのか〜と、見つけた時は嬉しかったっけな…ボカロ音楽にますます興味を持つきっかけになった曲。
そんな思い出の曲を…！
ステージ上の彼女の表情が見える。もう距離が離れてるとか関係ない。見える。心を込めて歌ってるのがわかる。
まるで天使じゃないか。
ああそうか…天使なのか。
連れて来てくれてありがとう
『たくさんの点は線になって
遠く彼方へと響く 〜♪』
『何回言ったって足りないよ
声に出して ３９ 〜♪』
『その時世界は
途端にその色を大きく変える 〜♪』
周りのお客さんも…みんな思い思いに音楽に乗っている。夢中で。
想像してみる。初音ミクはずっと、いたのだろう。みんなの心の中に。自分が気付いたのは今日だったけれど。
クリエイターがいて、ファンがいて、連鎖する創作文化があって。このライブができるのもそれらみんなのおかげ。
その中心に初音ミクがいたのだ。ずっと。
ありがとう、初音ミク。
こんなに素敵な世界に連れて行ってくれて。気づかせてくれて。
アンコール。
観客席から声が上がる。
「「「ミーク！ミーク！ミーク！」」」
今ならわかる。初音ミクは、いるんだものね。
"すごいもの見ちゃったな"
大声援のままライブ終了。
ライブが終わってしばらく他に何も考えられませんでした。夢心地。
最初は軽い気持ちで、どんなものだろうかと参戦したはずだったのにそんなことはすっかり忘れ。今や初音ミクの声が、周りの声援が、ライブが頭から離れない。
当時の日記がありました。ライブ終了直後に書いたメモです。虜になっている様子がわかります。
何度かぼうっとしてしまった。
ペンライトの動きが変わったのに気付かず
しばらくずっと同じ動きをしてた。
周りとは違うので浮いていた。（原文ママ）
その日は家に帰っても興奮で夜中まで眠れず。
こんなに心震えることがこの世にあるなんて。すごいもん見ちゃったな。
翌日
このライブに参加した理由がわかった気がしました。初音ミクに会うためだった。きっとそう。運命めいたものを感じました。
もうすっかり初音ミクのファンになっていました。「ミイラ取りがミイラになる」とはこのこと…。
翌日はテレビで『初音ミク「マジカルミライ2013」マルッと紹介 90分SP！』が放映されたので見ていました。
参加した夜ライブの参加者は1万人だそうです。あの1万人の中に自分もいた。夢のような時間でした。
そして。
自分は初音ミクが好きだ。もう迷わない。
このイベントから初音ミクファンとしての一歩を歩きだしたのでした。
あとがきを書こうと思ったのですが分量が多いので分けます。
もしよければご覧ください↓↓↓
