4/24(土)、25(日)の2日間にわたり幕張メッセで開催された 超歌舞伎 Supported by NTT「御伽草紙戀姿絵」@ニコニコネット超会議2021 (=超歌舞伎2021)。ネット視聴してまいりました!いろんな感想が湧き上がってきてますのでさっそく書いていきます!
今回の見所
新作『御伽草紙戀姿絵』
御伽草紙戀姿絵(=おとぎぞうしこいのすがたえ) 。今回の超歌舞伎のために書き下ろされた新作歌舞伎です。
土蜘伝説(つちぐもでんせつ)を題材とした、近松門左衛門の『関八州繋馬(かんはっしゅうつなぎうま)』や、
桜田治助の『我背子恋の合槌(わがせこがこいのあいずち)』、
山東京伝の『善知鳥安方忠義伝(うとうやすかたちゅうぎでん)』などをふまえて、創作された作品です。
中村獅童さんが源頼光と盗賊袴垂保輔の二役を勤め、初音ミクさんが七綾太夫役で初めて悪役に挑むのも、この度の大きな話題です。
また中村蝶紫さんが山姥茨木婆役を、澤村國矢さんが頼光の重臣平井保昌役を勤めます。(公式ページより引用)
出演者はおなじみの中村獅童さん、初音ミクさん、中村蝶紫さん、澤村國矢さん。
脚本に松岡亮さん、演出・振付に藤間勘十郎さん。
初音ミクさんが超歌舞伎で初の悪役というのも見所です。
劇中歌『ロミオとシンデレラ』
dorikoさんの名曲『ロミオとシンデレラ』。昔からのボカロファンなら知らない人はいないでしょう。私も思い入れのある大好きな曲。
…なのですが、この曲が超歌舞伎の主題歌に抜擢されたのには少々驚きました。「ロミオ」「シンデレラ」とそもそも曲名からして西洋風だし、曲の内容からもどちらかと言えばミュージカルとか洋風劇の方が連想されます。対して歌舞伎と言えば純和風。この曲がどう超歌舞伎と交わるのか、どう展開されるのかが注目でした。
観客あり+ネット視聴
今年は観客を入れての公演です。去年は夏に開催されましたが会場は無観客で、ネット視聴のみでした(去年の様子はこちら →ネット超会議2020夏・超歌舞伎)。
今年は人数制限はありますが会場にもお客さんがいて、かつネット視聴ありのハイブリッド方式です。
ただし今回の公演でも客席からの大向う(=おおむこう。掛け声)は無し。このご時世なので仕方のないことです。声出しはできませんが、現地組は代わりに拍手やペンライトで盛り上げます。ネット視聴組はコメントから盛り上げます。
開演
18:00。開演です。
中村獅童さんがあいさつの口上(=こうじょう)を読み上げます。
ネット視聴者からさっそくたくさんの「萬屋(=よろずや)!」の大向う(=おおむこう)が。
ネット視聴者はギフトで応援することができます。歌舞伎で言う「おひねり」ですね。この辺りの便利な投げ銭システムは引き続き採用されました。
そして…初音ミクさんも登場!
器用に口上を述べるミクさん。いよっ!待ってました!
ど迫力のオープニングムービー
NHKの大河のオープニングばりの迫力!最初から豪華、盛り上がる展開です。
そして初音ミクさんの美しい武者姿。武者姿でも姿や声はミクさんなのでなんかもういいですよねギャップが。ギャップ萌え…?
主要キャラクター登場!
オープニングムービーが終わり、場面は舞台上へ。三味線や柝(=き)の音が響きます。
紀伊國屋!!!澤村國矢さん、女郎蜘蛛と共に登場です。國屋さんは平井保昌(ひらいのやすまさ)役。主役である源頼光の付き人です。
女方(=おんながた)の中村蝶紫さん登場です。萬屋!!!蝶紫さんは山姥茨木婆(やまんばいばらぎばば)役。
そして袴垂保輔(はかまだれやすすけ)を演じる主役の中村獅童さん!萬屋!!!
「——まあもし頼光さん、そう怒らずとも。どうぞ了見してくださんせぇなぁ〜」
この声はもちろん…ミクさん!七綾太夫(ななあやだゆう)役です。初音屋!!!
多彩なカメラワーク
ネット視聴の大きな利点であるのが多彩なカメラワークによりいろんな視点から芝居を見られること。例えば先の御三方のシーンでは舞台横後方からという、ネット視聴ならではの視点があったりします。
特に今回特に印象に残ったのが、山場のシーンで演者2人をカメラが360°一周するシーン。あれ、現地ではどのように見えているか気になりました。黒衣(=くろご)さんがカメラ持って一周回っていたのでしょうか?
いろんな視点で芝居を見られるのは新鮮でもありますが、それ以上にネット視聴者を飽きさせない仕掛けになっている気がします。場面展開がすごく早く感じました。
——ということで、当然ミク太夫さんもアップで見られたりします。
七綾太夫(ミクさん)が本当に可愛い
この多彩な表情!やばいです!!!挑発的な顔も!キリッとした顔も!しかもアップで。七綾太夫ミクさんで恋に落ちる音がしたのはきっと私だけではないでしょう…尊い(本気)。
超歌舞伎ミクさんって普段よりちょっと大人に見えるのですよね。基本あでやかな着物姿だし。お履物で背も高く見えるし。艶っぽいというか。言葉遣いもいいですよね!ちょっと語尾を上げるところとか。
そんな高貴な着物で大人っぽいミク太夫さんに妖艶に目の前で微笑まれたら、もうね…いつの時代も花魁さんにハマってダメになる男がいたそうですがその気持ちが39ミリくらいわかった気がします(あかん)。
ほんとに可愛く美しいミクさんで気づいたのですが、以前より画質かなり良くなってますよね?表情のきめ細かなところまでよく見えました。去年と比べても違いを感じます。これはニコ動さん、がんばってくださったのでしょう。おかげでミクさんの美しさが際立ちました。圧倒的感謝。
他にも、より可愛さを感じさせた要素はあると思います。カメラワークもそうでしょう。今回の多彩なカメラワークはミクさんをより魅力的に見せてくれました(もちろん出演者全員ですが)。顔アップの場面もたくさんありましたし。カメラ屋!さんの力ですね。
あとやはり「電話屋」ことNTTさんのAR技術はや大きいと思いました。AR技術とは、ネット視聴者用にミクさんが浮き上がってリアルに見えるアレですね。あと、会場の天井の飾り付けもそうなのかな?
よくミクさんが二重に見えたのは後ろのディラッドボードが映っているからのようです。
AR技術は去年も採用されていましたが、今年はよりAR適用範囲が広がったように感じました。去年はカメラがアップになった中の一部だけがAR表示だったと思いますが、今年はいろんな角度でARが適用されていました。おそらく年々改良されているのではないかと予想しています。そもそもNTTさんはニコニコネット超会議の特別協賛企業様ですからね。超歌舞伎に無くてはならない存在です。
最新技術をふんだんに取り入れる一方、伝統ある歌舞伎特有の表現も見逃せません。「しっしっし」「おししはどこじゃ」とディスられる保昌の場面には思わず笑いましたw
驚くほどの展開の早さ
私は初日と2日目(=千秋楽)の2回をネット視聴したのですが、今回の超歌舞伎は本当に展開が早いと感じました。
ストーリー展開も目まぐるしかったです。冒頭の口上で獅童さんも言っていました。
「歌舞伎色が濃くなっている内容になっております」
「これまでが初級だとしたら、今回の演目は中級から上級になっております」
これは、これまで毎年続けてきた超歌舞伎がファンの中で浸透したため、歌舞伎として深い内容をしても楽しんでもらえると獅童さん達運営サイドがファンを信じてくれたことと受け取りました。嬉しいですね。
展開の速さの要因は他にもあるかと思います。上にも書いたように視聴者を飽きさせない多彩なカメラワーク。伝統の歌舞伎+最新技術を融合させた多彩な演出。さらに視聴者によるおひねりやコメント。
ニコ動と言えば視聴者コメント。ユニークで見逃せないです。特に超歌舞伎では、歌舞伎特有の表現でよくわからないところがあっても、誰かが解説してくださるので助かります(このブログを書く時も大いに参考にさせてもらいました)。
ネット視聴組は現地視聴組以上に忙しかったのではないかと思います。始まるまで、このご時世で現地に行けないことを残念に思っていましたが、あまりにネット視聴による環境が整ってきましたことでちょっと見方が変わりました。今は現地とネット、両方見られたら最高だなと思っています。
さて、長くなったので分けます。続いて物語後半へ。
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著者:やまもり→ Twitter